2ntブログ

年功序列


大学生の就職内定率が6割を切り、今年は史上最悪の就職難だといわれている。大学の3年生も今から就活に必死で、授業が成り立たない。この元凶は、よくいわれる新卒一括採用だが、これは現在の年功序列を前提とする限り、変えることはむずかしい。逆にいうと、これだけ横並びの採用慣行が残っているということは、いまだに企業に年功序列が根強いことを示している。

年功序列は長期雇用(いわゆる終身雇用)と一体だと思われている。しかし長期雇用は多くの国に(多かれ少なかれ)みられる雇用慣行だが、日本のように「*年入社」で厳格に人事管理を行なっている国は、以前の記事でも書いたように韓国ぐらいしかない。これは儒教の「長幼の序」の影響だともいわれるが、本家の中国にはそういう慣行はない。

このような年功序列は、経験の蓄積によって年長者の賃金がおのずから高くなるseniority payとは違う。日本の会社では「同期入社」は業務成績にかかわらず同時に昇進させることが原則で、給与も横並びだ。長期雇用にはインセンティブとしての合理的な理由があり、賃金を後払いする年齢給には労働者を囲い込む意味があるが、日本のように昇進まで年次で管理する年功序列には合理性がない。

だから企業では50歳前後で賃金は頭打ちになり、「本流」以外の人は(大企業では)関連会社に天下りするなど年功序列は崩れ始めているが、「同期」の原則は変わらない。だから中途採用が増えると序列が崩れて人事管理が面倒になるため、人事部が横並びで新卒一括採用するのだ。年次で昇進させるのは、人事部が社員の能力を評価できないからである。

これは北村隆司氏も指摘するように、日本の企業に独特の「人事部」という制度に問題がある。欧米の企業では、採用するのは社員が配属される部署のボスなので、必要な専門能力は明確であり、年次も横並びも関係ない。ところが日本では、長期雇用でいろいろな部署を回ることを前提にして採用するので、特定の専門能力より潜在能力が重視される。これは面接だけではわからないので、大学の偏差値が「一次試験」の役割を果たす。

このように年功序列は長期雇用がないとありえないが、逆は成り立たない。年功序列なしでも長期雇用は可能だし、欧米のホワイトカラーは長期雇用でも能力主義で昇進している。年功序列が是正されないのは、要するに専門能力なしでも生き残れるぬるま湯的な環境だからだ。

これをよく示しているのが、政治家の世界である。終戦直後は実力主義で、当選4回の石橋湛山が首相になったりしたが、自民党の長期政権が定着した70年代から「当選*回」で順番に大臣になる年功序列になった。それが小泉内閣で崩れ、民主党では平均年齢も下がった。政策立案などの「業績」を上げない議員を年次だけで処遇していると、党が闘いに負けるからだ。

この点から考えると、年功序列や新卒一括採用が残っているのは競争にさらされていないだめな会社で、一番だめなのは役所である。一括採用にこだわるような会社には行かないで、若者にチャレンジさせる中小企業に行き、経験を積んで起業したほうがいい。どうせ今ある会社が定年まで存在している可能性はほとんどないのだから。

どうでもいいからさー、仕事くれよ。

冒険してもいいコロ!本音全...

冒険してもいいコロ!本音全...

価格:3,869円(税込、送料別)



関連記事

Comment

Comment Form
公開設定

Trackback


→ この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)