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懐かしき歌声 ジャニス再び 楽しんで「熟して」

 一九七〇~八〇年代にかけて日本の人気ドラマや映画の主題歌にたびたび使われ、なじみの深い米国のシンガー・ソングライター、ジャニス・イアン。椎名林檎やアンジェラ・アキなど、彼女を尊敬する人気アーティストが曲をカバーするなど、その魅力が再発見されている。東京・赤坂のビルボードライブ東京での公演(27~29日)を前に、話を聞いた。 

 「年ねえ」

 四月で六十歳になるジャニスは、日本語でつぶやきながら、ソファにすとんと腰掛けた。通訳の女性から、いろいろな日本語を教えてもらっているという。いわゆるカタコトではない、完ぺきな発音。そう伝えると「耳がいいから」。白髪になっても、瞳の力の強さは変わらない。

 六七年夏、十六歳の時に、黒人少年と白人少女の恋愛を歌った「ソサエティーズ・チャイルド」でデビュー。曲を作ったのは十四歳の時。「十四歳でどうして書けたのかは分からない。でも書けた。タレント(才能)とはそういうもの。ギフト(神からの贈り物)だから」

 「才能に対しては謙虚でなければいけない」という彼女は、五枚のアルバムをリリースした後、音楽活動を一時休止する。「音楽から距離を置きたかったというより、社会から距離を置きたかった。そのまま活動を続ければ曲作りに支障が出そうだった。曲があってこそなので、(才能を)守りたいと思った」。スターであることよりも自分の中の「ギフト」を大切にすることを選んだ。

 復帰後の七五年、シングル「17才の頃」、アルバム「愛の回想録」でグラミー賞を受賞。日本では七七年に大ヒットしたドラマ「岸辺のアルバム」の主題歌「ウィル・ユー・ダンス」で人気が爆発した。美しく優しいメロディーと、「誰かが死にかけている」「夜 誰かが血を流している」と冷めた視線で世の中を見つめる歌詞が対照的な歌は、家族崩壊を描いたドラマとともに多くの人の胸に刻まれた。

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 この曲をカバーするアンジェラ・アキは、メールやスカイプでやりとりする「いい友だち」という。「今朝も『のどが痛い』とメールが来た」。椎名林檎は「恋は盲目」をカバーするほか、「シドと白昼夢」などの自作の曲で、ジャニス・イアンを歌詞に織り込んでいる。

 二〇〇八年に出版された自叙伝では夫の暴力、離婚、同性との結婚など人生の紆余(うよ)曲折をつづったジャニス。今は「熟していく」ことを楽しんでいるようだ。

 「若いころはやみくもに路地に入り込んで壁に突き当たるけれど、年を取るとその手間が省ける。すべてやるか、全くやらないかの白黒ではなく、グレーゾーンが増えてくるのもいいところ」

 最後に、人生の“後輩”たちへのメッセージを聞いてみた。

 「若いというだけで大変。両親の問題も大きいし、愛情も大きい。でも年を重ねれば乗り越えられるのよね。こわいことはない。自分のハートを信じてあげた方がいい」

◆ジャニス・イアン 1951年4月、米ブロンクス生まれ。67年のデビュー曲「ソサエティーズ・チャイルド」は全米14位。一時活動休止後、「17才の頃」が全米3位の大ヒット。81年にアルバムリリース後、活動を休止。92年に再開して以降は、ライブやアルバム制作などに精力的に取り組む。昨年12月、デビューから2006年までのアルバムからピックアップしたベスト盤「ベスト・オブ・ジャニス・イアン」が発売された。

なんて、すばらしい年のとりかたをしてるんだろう。ジャニスは。

やさしくて、クールなメロディー。大好きです。


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