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女専門の海老蔵は異端?「両刀使い」がひしめく伝統ゲイ能界

 東京・西麻布のビルで顔などを殴られて重傷を負い、無期限の謹慎となった歌舞伎俳優・市川海老蔵(33)。海老蔵といえば酒癖の悪さもさることながら、何より女好きであることで知られ、フリーアナウンサーの妻・小林麻央(28)と結婚するまでは、米倉涼子(35)、佐藤江梨子(28)ら数々の美女と浮名を流してきた。

 歌舞伎役者の女関係が派手であるのは、昔からの伝統のようなものであるが、ひたすら女性だけをターゲットにするという海老蔵のようなタイプは、実は伝統芸能の世界では珍しい。

 海老蔵の代替公演を引き受けた名女形・坂東玉三郎(60)は、2001年に元弟子の男性から「セクハラによって精神的苦痛を受けた」と、損害賠償を求めて訴えられた。男性は当時13歳で、添い寝を強要されたり下半身を触られたりしたという。また、玉三郎は主宰し、多くの美少年・美青年を育成していた。このような事情から、玉三郎は一部で「歌舞伎界のジャニーさん」と呼ばれている。ガチの男色趣味だけでなく、松本K四郎、市川S五郎、澤村T十郎など、女性もイケるが男性も......という「両刀使い」の噂がある歌舞伎役者は数知れない。

 また、同じく伝統芸能である落語の世界も「両刀使い」が多いことで知られる。

  "笑点の黄色"こと林家木久扇(73)は、若いころに当時絶世の美青年だった美輪明宏(75)を遠目に眺めながら「あんな子と寝たら高いんでしょうねえ」と、つぶやいたことで知られる。同性愛者の男性タレント=男娼という感覚は、昔の芸能界ならではだ。先日、長期休養から完全復活した立川談志(74)も、若いころに男色にふけっていたことを公言し、弟子にも芸のために男と寝ることを勧めていた時期があった。

「美意識を磨くことが芸の追及になる伝統芸能の世界では、女遊びと同時に、昔から男色が盛んでした。歌舞伎は女形はもちろん、二枚目の役者も両刀使いである場合がほとんどでした。落語でも女性を艶っぽく演じる場面は多いですから、『男色も勉強』『男と寝なければ芸は極められない』という考え方があったようです。それ以前に、歴史的に伝統芸能の役者が男娼を兼ねていたことも関係しているでしょう」(伝統芸能関係者)

 江戸時代から明治時代まで、歌舞伎役者や文楽の人形遣いらは"河原乞食"と呼ばれ身分が低く、収入も十分といえなかった。彼らは男色趣味の旦那衆などと寝ることで、パトロンを得ると同時に生活費を稼いでいたという経緯がある。

 とはいえ、海老蔵や中村獅童(38)など若い世代の歌舞伎役者は女専門の好色タイプが目立つし、落語界でも最近は芸のために男色にふけるという傾向はない。歴史的な背景や芸の追及のために男色文化が色濃く残っていた伝統芸能の世界だが、新世代の台頭によって伝統が変わりつつあるのかもしれない。






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